11月24日はクイーンのフレディ・マーキュリーの命日(1991年没)。
以前から見たかった映画「ボヘミアン・ラプソディ」ですが、たまたま予定が空いて命日その日に鑑賞してきました。
既にワールドワイドで大ヒットしている映画なので賛否両論(「賛」のほうが圧倒的に多いのかな?)、いずれにしても話題作ではあります。
話題作になるには当然理由があるわけで。103が考える理由をいくつか。
1.超有名曲が多い:We will rock you 、We are the champion 、Bohemian rhapsody 、Love of my life 、Another one bites the dust 、Killer queen 、Crazy little thing called love 、等々、103と同年代(±6歳)の人はもちろん、今の若い人でもそれがクイーンの曲と知らなくてもドラマやCMなどで聴いた曲を知っている人は多いと思う。
2.演奏シーンの再現性の高さ:ブライアン・メイとロジャー・テイラーが演奏に関するアドバイスをしたらしいが、クイーン Ver.2.0としても通用するくらい練習したようだ。映画後半に向けて各アクターの顔がどんどんオリジナルに似ていくのがスゴイ(メイクやしぐさの模倣など映像が残っているから出来るのだと思うが)。とりわけ驚いたのはジョン・ディーコンの表情・ふるまいがめちゃくちゃ似ていたこと。
3.悲劇的なスーパーバンドのヒストリー:売れない大学生バンドから突如スーパースターの仲間入りをしてバンドの崩壊やフレディの死など悲劇へ突き進む王道ストーリーを再現。
と、まあ、クイーンファンなら当然思いつくようなポイントですね。
もちろん、最後まで映画を見てライブエイドのくだりでは号泣しましたよ。えぇ。
でもまぁ、10代初期にクイーンの楽曲に出会った身としてはいささか不満な点もございまして。
今度は不満点から読み解く本作品の解釈を。
A.ジョン・ディーコン役の役者が「地獄へ道連れ」のフレーズを何気なく弾くシークエンスがあるのですが。あと100倍タイトな音(とリズム感)でないとオリジナルには届かないかな。手数の多いベースではなく、音の発生とサスティーンコントロールとミュートなど、もろもろを完全制御して成り立つアノベースラインは一朝一夕でまねできるものではありません。それでも健闘はしていたと思いますが。
B.なぜ、Under pressure をとりあげないのか?
ストーリーの流れから、デヴィッド・ボウィとの共作であるUnder Pressure は当時のクイーン及びフレディの心情を的確に表しているのでは?
オフィシャルビデオには恐らく東京の満員電車の通勤風景(その他さまざまな人類による破壊行動など)が収録されていたりして、3.11以降の世界の在り方についても暗示的であったりして。ま、フレディ本人に関するばかりの曲ではないので映画で語られなかったのは仕方がないのか。
C.ロジャー、もっと声を出せ!(笑)
いえね、クイーンの各人の声ってのはとても個性的でありまして。
なかでもロジャー・テイラーのだみ声はロック界きってのカスレ方(誉め言葉)です。フレディの芯がありかつクリアーな声に対して、ロジャーのだみ声が重なって。
いや、重なるだけなら(ユニゾンなら)まだしも、ハモるんですっ!
んで、それがまた味があるんです!!
楽曲で言えば I'm in love with my car でのリードヴォーカルなんて最高じゃないですか。
あ、これもフレディと直接関係ないのか。
D.これは不満じゃないです。
フレディ自身が混血でザンジバル生まれとか、容姿にコンプレックスを持っていたりとか、晩年AIDSによる合併症で亡くなるわけですが、いわゆるバイセクシャルによるAIDSへの感染とか。彼にとって社会の逆風があまりにも強かったのだな、と映画を見て改めて思いました。
2018年という時代でも年齢・性別・国籍・教育・出身地・容姿・障害・既往症・性癖・性格・人種・宗教・・・様々な理由による差別はなくなりません。
自分を顧みても全く差別のないジャッジを日々出来ているかと問われれば明らかに答えは「No」です。今の時代でも、です。
30年前に未知の疾病であるAIDSに罹患したフレディが果たしてどんな精神的苦痛を負ったのか。映画の中でも、記者会見でクイーンの音楽ではなくフレディの性癖に関する質問に終始するという象徴的な場面がありましたが、現在でもセクハラやパワハラなどと名前を変えて差別は社会に蔓延しています。
この映画を見て少しでも見方が変わればいいなと思います。
E.こちらも不満ではないです。
クイーンの楽曲に関する個人的見解です。
初期・中期・終盤の楽曲どれをとっても、クイーンいやフレディのコンプレックス/劣等感に関する答えやヒントを盛り込んだ歌詞が多いのだなと思いました。
F.不満です。フレディのソロ名義の曲をもっと取り上げても良かったのでは。
もちろんヒット曲の多いバンドの場合どの曲を「捨てるか」という問題は永遠に解決することが出来ないし、かつ、バンドのキャリアが長くなるほど難しくなる問題ではあります。
しかし、ソロで発表した I was born to love you やバルセロナなど。この映画はクイーンの映画というよりもフレディの映画なのだからソロ名義の曲をフューチャーしても良かったのかとも。ま、LIVE AIDを最後のショーとしてきれいに仕上げたかったのかな?
G.実質的なラストアルバム、INNUENDOの扱いがイマイチ。
当時、地方に住んでいてヘビメタの世界にどっぷり漬かっていた103にとって、クイーンの新譜はあまり興味深いものではありませんでした。それでも本作を購入して聴いたものの、昔とは異なる暗い世界。歌詞の内容までは深く考えなかったもののアレンジの暗さはひときわ目を見張るものがあり、当時フレディの病状がそれほど悪いとは知らなかったので(今のようなネット社会であればそんなこともないのかな)、自分の中では非常に評価の低いアルバムでした。
しかし、その後バンドを取り巻く環境を考えるとなぜこの時代にこのようなアルバムを作成したのかがわかります。
ま、唯一救いだったのは映画の最後の最後、エンドロールで流れていた曲が「The show must go on」だったこと。
歌詞をかみしめるほど悲しくなる。若造だった自分には想像すらできない内容だったに違いない・・・
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