第31回松戸市民コンサートで『ドイツ・レクイエム(他)』を聴いてきました。荘厳な曲で、今年は第九が聴けないけどま、いいや。

2019年12月8日㈰、松戸の森のホール21 大ホールにて第31回松戸市民コンサートを聴きました。

管弦楽は普段からイチオシの松戸シティフィルハーモニー管弦楽団。

合唱は松戸市民コンサート合唱団

指揮は松沼俊彦氏。


12月に入ってようやく師走らしい寒さがやってきましたが、この日は晴天で小春日和。それに加えて松戸市民コンサート合唱団も加わるので観客もいつもの松戸シティフィルの定演の3割り増しでしょうか?開場直後に到着したのですが、既に長蛇の列。
え?こんなに屋外まではみ出るほど並ぶことあったっけ??と思うほど。

さて、当日のプログラムは・・・

1.交響詩「レ・プレリュード」/F.リスト作曲

        ≪休憩≫

2.「ドイツ・レクイエム」/J.ブラームス作曲
  第1曲 悲しむ者は幸いです
  第2曲 人はみな草のよう
  第3曲 主よ お知らせください
  第4曲 万軍の主よ あなたの住まいはなんと慕わしいことでしょう
  第5曲 あなたがたも今は悲しんでいます
  第6曲 私たちは、いつまでも続く都をこの地上に持っているのではなく
  第7曲 今から後、主にあって死ぬ死者は幸いである


では曲ごとに感想を。

【レ・プレリュード】

この曲は完全にノーマークでした。もちろん事前に演奏予定であることを知っていましたが、ブラームスのほうに気を取られすぎていて全く予習せずに聴いたのでした。
4部からなる15分ほどの小品ですが、プログラムにはいつものように秀逸な曲の解説が掲載されています。
まず、作曲者はリスト。ラ・カンパネラや超絶技巧ピアノ奏法で有名ですが、ピアニストを引退して作曲家になっていたのは知りませんでした。ま、多くの作曲家はもともと楽器奏者だったというのは想像できますが、リストの場合は『甘いマスクで難度の高いピアノ演奏で女性をメロメロにする』という、いまどきのアイドルのようなイメージを持っていました(苦笑)。

しかし、長くない曲なのに起承転結というか人生の様々な場面をうまく表現しています。とくにこの曲ではラッパ(乱暴)とハープが印象的に使われていて、「うわ~、リストってこんな素敵な曲も作れるんだ~。さすが女ったらし(しつこい)」と思いながら聴いていたらあっというまに終わってしまいました。

あ、プログラムの曲目解説によればプレリュードは「死への前奏曲」という意味合いだそうで、なるほどこの後演奏されるドイツ・レクイエムにひっかけたわけですね。


【ドイツ・レクイエム】

はい。この曲。事前に予習しましたよ。
偶然にも半年前に録画しておいた「ららら・クラシック」にシューマン夫妻(特に奥さんのクララ)がブラームスを全面的にバックアップしていたという話を聞いていたので、余計に興味を持った次第です。

やはり秀逸な曲目解説の足元にも及びませんが、事前学習ノートによれば、
1.通常、葬式で使われる典礼音楽であるレクイエムは「有事」の時しか演奏されない。
2.ブラームスは「演奏会用」の作品としてこの曲を作る。
3.通常のレクイエムは葬式用だから(カトリックの思想による?)悲しく後ろ向きな歌詞を使われることが多い。
4.しかし、演奏会用として割り切ったブラームスはルター派の影響を受けて、もっと前向きな詩をルター聖書から引用している。
5.作曲開始後とん挫していた創作活動は恩人R.シューマンの死、9年後の母親の死去により一気に加速。
6.歌詞として人の苦悩や人生の儚さ、忍耐・慰め・喜びなどを表現しており、死者ではなく生者のためのレクイエム。
7.あ、そういえばブラームスももとピアノ奏者らしい。


で、これは歌詞が大切なポイントだな、と歌詞を綴ったメモを用意したにもかかわらず当日持参し忘れる(恥)。
ところが、さすが松戸市が全面バックアップしている演奏会のプログラム。ちゃ~んと歌詞を掲載してくれていました ♪

それも対訳つきです。

さて、演奏です。
管弦楽は演奏力に定評がある(当社比)松戸シティフィルですから安心して聴けます。
松戸市民コンサート合唱団も毎回松戸市民コンサートで合奏しているハズですから、演奏の息もあっています。もちろん、繰り返し練習されたのでしょうけど。
それにソプラノの根本真澄さん、バリトンの薮内俊弥さんが加わります。



今回、ドイツ語の歌を聴いて思いました。
華やかなオペラで奏されるイタリア歌詞。
さらにきらびやかで土着的表現もできるフランス語歌詞。
(どちらも勝手なイメージですが)
オペラや合唱自体クラシックコンサートで聴く機会はそれほど多くありませんが(オペラ長いし)、『ドイツ語の歌詞、好きだな。』と。

昔、フランス語を話している人の会話をそばで聴いていて、「耳に心地よいな~」と思ったことがありました。確かに音楽的というか流れるような言語で(意味は全く分かりませんが)聞いていて楽しくなった記憶があります。
それに対してドイツ語の会話で道行く人を言い表すときに「初老の男性で短い白髪と暗い色のスーツを着たまるでスポーツマンのように筋肉質な人」というように、いちいち説明的というか、さすが工業先進国、技術的な単語がそのまま会話になっちゃうような印象を受けるわけです。


しかし。

ドイツ語の歌詞は普段の会話と違うのか、もっとシンプルで抽象的なものが多いと思っています。
ベートーベンの第九もそうだし、この「ドイツ・レクイエム」で奏されるのもシンプルがゆえに考えさせられる歌詞。
特に印象に残ったのは第2部の冒頭。

人(肉)はみな草のようその栄えはみな草の花のようだ草はしおれ、花は散る

で、これを大編成の合唱で聴くわけです。
もう、鳥肌モノなわけですが、追い打ちをかけるようにソリスト(先に歌うのはバリトン)の歌唱。合唱とはまた違う迫力で耳に迫ってきます。

プログラムには演奏時間およそ70分となっていますが(ネット上にアップされている動画も1時間越えが普通)、え?もう終わり?? というほど充実した演奏でした。
鳴りやまない拍手。

もしかするとアンコールが? とも思いましたが、奏者も指揮者もすべて出し切ったのか、アンコール曲はありませんでした。
いや、それでも充実したコンサートで大満足です。
来年はロッシーニのスターバト・マーテル他 とのことですが、こちらもたぶん聞いたことない曲なので、今から予習だ!

あ、書き忘れるところでしたが、松沼さんの指揮は相変わらずダイナミック。静かな歌唱部分でもその歌詞に思い入れが強いのか、まるでヘビメタコンサートでヘッドバンギングするかのごとく激しい振り方。それをみてさらに思い入れが強くなる103でした。

指揮者の松沼さん、ソリストのお二人、合唱団の皆さん、合唱指導の小津準策さん、楽団の皆さん、裏方の方々も含めて素晴らしい演奏会をありがとうございました♪


あ、ちなみに松戸シティフィルの次回コンサートは2020年4月26日㈰、ベートーベンの交響曲第6番ほかです。指揮は米津さん♪
チラシのデザイン、ナイスですね。

2輪、SK、ノイズ

2輪は自転車。SKはスティーブンキング。ノイズは音楽。 思ったことを素直に書いていきます。

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